【おひとりさま向け】将来への不安を解消するサービス①

住宅難民問題
2024/02/29
文:藤掛千絵

「おひとりさま」という言葉は、ドラマや漫画、音楽など、さまざまなメディアでよく耳にしますね。
しかし、現実では「賃貸住宅が見つからない」という問題が、単身高齢者の方々の間で深刻な課題となっています。

「おひとりさま」の老後、住む場所が見つからないという不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな単身高齢者の方々が直面する「住環境の現状」を、後半では「高齢者の入居を促進させる」取組やサービスについてご紹介します。

単身高齢者が大家さんに敬遠される理由

「安心プラス通信」でも取り上げていますが、単身高齢者が大家さんに敬遠される理由として、「認知症の発症によるトラブル」や「孤独死による事故物件化リスク」が挙げられます。
賃貸物件は大家さんにとって大切な資産ですから、資産価値が下がることを避けたいという気持ちは当然です。

一方で単身高齢者の数は年々増加傾向にあり、総務省のデータによると、1980年に88万人だった単身高齢者の数は、2020年に672万人にまで増加しました。
さらに、2040年には896万人に達すると予想されています。
世の中が「おひとりさま」の「高齢者」だらけになる未来が、すぐそこまで近づいてきています。

きたる超高齢化にむけて行政が打ち出した対策は…

「超高齢化社会」を迎えるにあたり、行政も対策を進めています。

まず2021年には、国土交通省が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を発表しました。 これは、入居者が亡くなった後でも、相続人がすぐに見つからなくても、「賃貸借契約の解除」と「家財の処分」がスムーズに行えるようにするためのものです。

また同年には「事故物件化」の定義を明確にした「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」も発表されました。
これにより、入居者が自然死や日常生活内での不慮の事故で亡くなっても、特殊清掃やリフォームをするほどでなければ、次の賃借人への告知は不要となりました。

そして2023年に、厚生労働省・国土交通省・法務省の三省合同による居住支援機能に関する検討会が開かれました。単身高齢者を含む様々な「住宅確保要配慮者」が、円滑に住まいを確保できるようにするための話し合いです。

■参考資料:住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk7_000043.html

検討会の中でも特に語られていたのは「大家さんが住宅確保要配慮者に賃貸住宅を貸すためには、心理的な不安をまず解消しなければ」という内容でした。

藤掛千絵