限界集落について知る①
「限界集落」という言葉をご存知でしょうか。
この言葉を聞いて思い浮かぶのは「過疎化の進んだ地方の集落」のことかもしれません。
しかし、限界集落は今や「地方だけ」の問題ではなくなっています。
都心においても団地や住宅街の住民が高齢化し、地方の集落と同様の「社会問題」が起き始めています。
今回は「地方と都心の限界集落の現状」や「都心でも起こっている新たな社会問題」、
そして「限界集落への対策」をご紹介していきたいと思います。
限界集落とは?
限界集落の定義は、次の基準に基づいています。
・地域人口の50%以上が65歳以上
・冠婚葬祭などの社会的共同生活を維持することが限界に近づきつつある状態
上記に満たずとも地域人口の過半数が55歳以上の場合は「準限界集落」と言われています。
都市部から離れた山間部の限界集落では、下記のような不幸な事故も起こっています。
■消えていた炎~限界の山里で~(1)「家がない」「熱もなかった」
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/438686
山里で火災が発生しましたが、人口が減り一軒一軒の間に距離があった為、誰も火災に気づかず、住宅は全焼、住人も孤独焼死したというニュースは、限界集落がはらむ懸念点が顕在したとも言える出来事でした。
また限界集落の問題は、都心に住んでいる人々にも決して対岸の火事ではありません。
過疎化し、若者が減るということは、それまで受け継がれてきた「農林漁業の担い手が減る」ことです。
農林漁業の担い手が減れば、日本国内の食料自給率そのものが大きく下がります。
また、里地里山の環境保全がされなくなったり、独自の文化が途絶えたり、最終的に国内全体への影響を及ぼしかねない社会問題なのです。
都心でも起きている「限界集落化」
令和5年版の「高齢社会白書」によると、令和4年に65歳以上の人口は、総人口の29%となりました。今後の予想では令和19年に「3人に1人が65歳以上」となる時代がやってきます。特に日本は他国よりも特に早い速度で超高齢化社会に向かっていると言われています。
さて、冒頭でもお話ししましたが、限界集落は地方だけの問題ではありません。
■都心の「限界集落」団地、地域崩壊に高まる危機感 1人暮らし高齢者急増の将来推計
https://www.sankei.com/article/20240412-LRKEBVXDXNIYFAJ65QSLRC3YSQ/
上記のニュースで取り上げられた集合住宅は、東京都新宿区という好立地な条件の場所に位置しています。近くには、若者が多く集まる新大久保がありながら、団地の住人の高齢化が極端に進み、隣人が孤独死をしても気づかなかった…と、地方と同じことが起きています。
また内閣府の高齢社会白書によると、高齢者の4人に3人は一戸建ての持ち家に住んでいます。一戸建ての持ち家は、駅前の商店街等から離れた「住宅地エリア」に建っていることが多く、これが「新たな社会問題」を生み出す要因の一つになっています。
新たな社会問題
近隣に食料品店がない、店舗までの交通手段がないなどの理由で、食料品の買い物に苦労を感じる人たちを「買い物難民」と呼びます。今、都内では高齢者の4人に1人が、この買い物難民になっていると、農林水産省が公表した推計で明らかになりました。
都内で買い物難民が増える理由として、下記のことが背景にあると言われています。
・地域商業の衰退
→大型商業施設が出来た影響等で、住宅街の近くにあった小売店が集まる商店街が衰退してしまった。
・公共交通網の減少
→地域の過疎化により公共交通機関の利用者が減少し、商業施設へ行く為の交通手段が乏しくなった。
高齢者になると、経済的にマイカーの所持が困難になったり、免許証を返納したりする方が増えていきます。公共の交通機関が近くにあれば買い物へ行ける方もいらっしゃいますが、そもそも高齢化し運動機能が低下することで「外出自体が難しい」という人が増えていきます。また、買い物を頼める家族がいない「単身高齢者」が増えたのも、買い物難民の増加に影響を及ぼしています。
■東京周辺で「買い物難民」増加へ?注意すべき家と立地の特徴
https://news.livedoor.com/article/detail/26189285/