国交省発!新たな居住支援

住宅難民問題
2024/05/09
文:藤掛千絵

60歳以上の高齢者が、孤独死による事故物件化の懸念などから、賃貸住宅を借りにくいという状況は未だに続いており、そんな高齢者を含む、賃貸住宅を借りにくい方々を「住宅確保要配慮者」と呼んでいます。

2023年の夏から「住宅確保要配慮者」の居住を支援する検討会が行われてきましたが、2024年に入ってから国交省は「見守り付き賃貸住宅」を創設することを発表しました。また、既存の「住宅セーフティネット制度」も改正されることになり、居住に関する支援が活気づいてきました。

今回は「住宅セーフティネット法の改正法律案」や「見守り付き賃貸」についての情報を簡単にまとめていきます。

住宅セーフティネット法とは

住宅セーフティネット法は、「住宅確保要配慮者」—低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などを支援するための制度です。以下のような特徴があります。

・セーフティネット登録住宅として登録できる
賃貸住宅の所有者は、セーフティネット登録住宅として空室を登録することができます。また、入居する「住宅確保要配慮者」の範囲も設定できます。

・登録住宅の改修費補助
登録に際し、耐震性を有していること、住戸の床面積が原則25㎡以上であることなど一定の基準に適合する必要がありますが、改修費について補助金が申請できます。

要配慮者に円滑に住居を提供できる仕組みですが、登録時に大家さんが入居者の範囲を限定できることで、入居を希望する単身高齢者がいても、供給が間に合わないことが多くありました。

住宅セーフティネット改正後の法律案

住宅確保要配慮者がより安定的に住まいを確保できるようにと変更された点は以下の通りです。

・賃借人の死亡時まで更新がなく、また賃貸借契約も終了する
相続人に相続されないため、次の入居者を募集しやすくなります。

・居住支援法人による残置物処理の推進
居住支援法人が行う業務の中に、残置物処理が追加されたことで、居室内に残った家財の扱いに大家さんが困ることがなくなります。

・家賃債務保証業者の認定制度創設
家族・親族がいないため、家賃保証契約が結べない要配慮者でも利用しやすい家賃保証業者を国が認定することで、家賃保証契約が結びやすくなり、大家さんが安心して賃貸を貸し出せます。

上記の通り、大家さんが賃貸住宅を貸しやすくなることで、要配慮者が円滑に入居できる環境を整備することがまず掲げられています。併せて、居住支援法人などがサポートを行う賃貸住宅を増やそうという動きがあり、この中に「見守り付き賃貸」の創設が含まれています。

見守り付き賃貸とは

国交省が2024年2月に発表した「見守り付き賃貸住宅」とは、人感センサー等の見守りシステムが付いた「居住サポート住宅」で、実際に人が訪問して入居者のサポートを行う取り組みです。住宅セーフティネット法の中では「居住サポート住宅の認定制度の創設」として明記されています。

■特徴■
・人感センサー等の見守りシステムを導入する 一定期間動きがないと連絡が行くシステムを住居に設置することで、孤独死等の万が一を防ぎます。

・福祉法人やNPO法人の訪問がある 必要に応じて実際に高齢者の住居を訪問することで、他の福祉サービスとの間を取り持つなど入居者のサポートを行います。

・国が認定する家賃保証会社を利用する 家族などの保証人がいない単身高齢者であっても利用できる家賃保証会社と契約することで家賃滞納がなくなり、大家さんの不安を軽減します。

■見守りシステム導入に補助金は出るのか?
現在、見守りシステムの導入費用は基本的にオーナー負担とされていますが、補助金制度については検討中です。改正案が国会に提出され、新制度の開始時期や具体的な動きは現時点で未定ですが、今後の動向が注目されています。

総合的・包括的な支援体制を作っていく

本来の「支援」というものは、単に要配慮者が賃貸住宅に入居して終わりではありません。今回の改正では住宅施策と福祉施策がさらに連携して、居住支援を総合的・包括的に行えるよう体制を強化する方針を打ち出しました。
この体制の中には福祉法人・支援法人・行政だけではなく、宅建業者や賃貸住宅管理業者、家主等の「不動産関係団体」も含まれています。多様な関係者が協力し合うことで、要配慮者一人一人のニーズに応じた支援を実現するための基盤を固めていくことが望まれます。

■~住宅セーフティネット法を改正~資料
https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000276.html

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藤掛千絵