孤独感で認知機能が低下する?~心理的幸福感の重要性~

孤独死問題
2024/09/19
文:藤掛千絵

社会的に孤立していなくとも「孤独感を抱えているだけで認知機能の低下が著しくなった」という研究結果のニュースが話題になっています。

■社会的孤立で記憶力は低下する、孤立していなくても「孤独感」で衰える【最新研究】
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6a75a9c09070eaf32fa08ecce92eea98bea62a9

超高齢社会に突入した日本では、認知機能の低下を防ぐこと、緩やかにすることも介護支援の面において重要な課題となっています。今回は、孤独感と認知機能の低下について、最新の研究結果をご紹介しながら、改めて考えていきたいと思います。

認知症の高齢者を狙う悪質な詐欺が増えている…

認知機能の低下した高齢者を狙った詐欺が増えています。
2024年6月にも認知症の高齢女性に不当な高値で不動産の売買契約を結ばせたとして、男4人が逮捕されました。この詐欺グループは認知症の高齢者をターゲットにして、相場の約10倍の価格で不動産を売りつけていました。

■認知症患者標的の不動産契約、高齢者ら9万人分の名簿と詐欺電話マニュアル押収…容疑者4人を再逮捕へ
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240625-OYT1T50011/

詐欺グループのマニュアルには、まず高齢者から認知機能の程度を聞き出すような記載がありました。
上記の事件では、子世帯が異常に気付き犯罪が明るみに出ましたが、単身で生活をしている高齢者の場合は犯罪に巻き込まれていることにすら気づかない可能性があります。

防犯的な観点からも、認知機能の低下を予防することは重要です。

孤独を感じないために…キーワードは「心理的幸福感」

従来、孤独とは「社会的な孤立」というイメージが強く、頻繁ではなくとも他者との接点があれば問題は改善される、と考えていた方もいるのではないでしょうか。
社会的に孤立していなくても、孤独感を感じるだけで認知機能が低下するという研究結果について、改めて高齢者とのかかわり方を考えていかねばなりません。
問題の対策、解決方法としては、まず「孤独感を紛らわすこと」が挙げられますが、では孤独を紛らわすには、具体的にどんな感情を満たせばよいのでしょうか。

ここで出てくるキーワードが「心理的幸福感」です。

個人が自分の生活に対して感じる満足感や幸福感を「心理的幸福感」と呼びます。この心理的幸福感が満たされていないと孤独を感じやすくなってしまうようです。

■認知症の「早期警告サイン」が明らかになる...「心理的幸福感」6つの要素との関係は?【最新研究】
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d431a81bf96b90b59d210917e20294d9673d850

まず「心理的幸福感」の6つの要素について、更に詳しく意味を考えてみましょう。

自己受容: 自分自身を受け入れる能力。
自律性: 自分の行動や決定に対する独立性。
環境制御力: 自分の環境を管理・調整する能力。
人生における目的: 人生に対する目標や意義を感じること。
積極的な他者関係: 他人との良好な関係を築く能力。
人格的成長: 自己成長や発展を感じること。

記事内では特に「人生における目的」と「人格的成長」が低下している被験者が、軽度の認知機能を発症した、という結果が記載されていました。
よく仕事に対して強い情熱や責任感を持って取り組んでいた人が、プロジェクトの完了後や退職後に「燃え尽き症候群」という意欲やエネルギーを失う状態に陥ることがありますが、上記の状態も、こういったきっかけから起こりうるのかもしれません。

■介護職が知っておくべき燃え尽き症候群(バーンアウト)とは?
https://kaigo.miraxs.co.jp/column/knowledge_0060/

中には孤独を感じやすいタイプも……。

次に、孤独を感じやすい人の特徴を考えてみましょう。
一般的に「自己肯定感が低い」、「本音や感情を表に出せない」といったものが挙げられますが、女性と比較して男性の方がより孤独を感じやすい傾向にあるようです。

例えば高齢者の孤独死においても、男性の孤独死数が圧倒的に多いといわれており、その理由として「社会的ネットワークの違い」や「感情表現の違い」が挙げられます。

社会的ネットワークの違いとは、女性は一般的に、友人や家族とのコミュニケーションを積極的に維持する傾向がある一方、男性は仕事を通じた人間関係が中心のため、退職後にそのネットワークが急激に減少することが多いことを指します。

また感情表現の違いとは、男性は感情を表現することが少なく、助けを求めることに抵抗を感じることが多いことを指しています。

現在、各自治体で高齢者の孤立を予防した取組が行われていますが、男女混合の催しを開くと女性の方が多く集まる傾向があるため、男性が参加しやすくなるように工夫が見受けられます。
■閉じこもっていられない!シニア男性を惹き付ける地域活動が多彩
https://nakamaaru.asahi.com/article/14191286

まとめ

昨今SNSなどで「自分の機嫌を自分でとろう」という考え方を見かけます。世代関係なく、自分の機嫌をとる方法を普段から用意しておくことは、孤独をポジティブに捉える「主観的幸福感」を高めるのに有効的なようです。
自分で自分の気分をコントロールすることで日常生活における自主性が高まり、より活動的になることが期待できます。活動的になると、認知機能の低下を防ぐ効果も期待できます。
もしも自分の機嫌の取り方が分からないという方は、上記のような自治体の催しに参加するなど「誰かの考え方に乗ってみる」というのも一つの手段になり得るでしょう。孤独感を軽減し、認知機能の低下を防ぐために、ぜひ日常生活における小さな工夫を取り入れてみてください。

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藤掛千絵