2025年の賃貸トレンド予測と差別化のためのサービス
2025年の賃貸市場では、以下のトレンドが注目されています。
・高速インターネット回線の設置
コロナ禍以降、テレワークが定着し、高速インターネット回線を導入した物件やワークスペースのある物件への需要が高まっています。
・スマートホーム
手元のスマートフォンで住宅内の設備を操作できるスマートホームが、物件選びの新基準として考えられるようになってきました。
・省エネ性能の高い設備
省エネ性能の高い設備も、物件選びの重要なポイントとなっています。
一方、高齢者向けの賃貸市場では、以下のトレンドが注目されています。
■バリアフリー設計
高齢者が安全に生活できるよう、段差のない設計や手すりの設置、広い廊下やドアなどのバリアフリー設備が求められています。
■見守りサービスの設置
高齢者の安全を確保するため、見守りサービスの導入が進んでいます。
■コミュニティスペースの設置
入居者同士や地域住民との交流を促進するためのコミュニティスペースの設置が注目されています。
これからの賃貸物件経営では、高齢者のニーズを的確に捉え、他の物件と差別化を図
バリアフリー・見守りサービスは必須のトレンド
高齢者向け賃貸住宅において、バリアフリー設計と見守りサービスは今や必須のトレンドとなっています。例えば、東京都住宅供給公社が提供する「JKKシニア住宅」では、バリアフリー設計や緊急通報装置を備えた見守りサービスが導入されており、高齢者が安心して暮らせる環境を提供しています。
さらに「住宅セーフティネット法の改正」により、高齢者や低所得者など住宅確保要配慮者が安心して賃貸住宅に住める環境が整備されています。この改正法では、バリアフリー設計や見守りサービスを備えた住宅の供給を促進し、賃貸人の不安を軽減するための支援が強化されています。
このようにバリアフリー設計と見守りサービスを備えた賃貸住宅は、今後ますます需要が高まり、賃貸物件運営においてこれらのトレンドを取り入れることは、他物件との差別化を図るための有効な手段となります。
コミュニティスペースの設置
最後のトレンドである「コミュニティスペースの設置」についてですが、入居者同士または地域住民と入居者が交流することで、孤立感を軽減することができます。定期的なイベントの開催では体を動かすことで認知機能の低下防止にも繋がります。
また、他賃貸物件との差別化を図るために、共有スペースを利用して漫画コーナーを作るための書籍+本棚をレンタルするサービスを行う企業もあります。
コミュニティスペースの参考に、コレクティブハウスを
コレクティブハウス（collective house）をご存知でしょうか。
「共働き世帯」や「単身高齢者」の増加に伴い、子育ての共同化や社会的な触れ合いを求める風潮から生まれた「共同生活」の一種です。
1920年代から1930年代にかけて、スウェーデンの建築家スヴェン・マルケリウスとノーベル平和賞受賞者アルバ・ライマル・ミュルダールが共同で計画したプロジェクトがその始まりとされています。
共同生活といえばシェアハウスのようにバスルームやキッチンをシェアするイメージが強いですが、コレクティブハウスは各住戸にキッチンやバスルームがあり、よりプライバシーを確保している点がシェアハウスと大きく違います。
北欧では、コレクティブハウスが広く普及しており、特にスウェーデンでは多くの成功事例があります。例えば、ストックホルムにあるシニア型コレクティブハウス「フェルドクネッペン」は、40歳以上の入居者を対象として、共用のキッチンやダイニングの他に、サウナスペース、DIYスペースまで備えています。
■参考
スウェーデンのコレクティブハウス PartⅠ シニア型コレクティブハウス「フェルドクネッペン」 - 楽しいコンセプトのある賃貸住宅を紹介するウェブマガジン｜ワクワク賃貸®︎
日本でも2000年代からコレクティブハウスが導入され、30代～80代の家族世帯、単身世帯が暮らす物件もあります。コモンミールと呼ばれる食事係や、共用部の備品係、ガーデニング係、見学会や取材の対応係などコミュニティを維持する役割があり、住人は必ずどれかの役割を担います。
このように、コレクティブハウスは必然的に居住者同士の交流が促進される環境のため、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
まとめ
北欧では高齢者用のコレクティブハウスが多くありますが、日本での広がりはまだあまり見られていません。しかし、これからの時代、単身高齢者や未婚者、身寄りのない高齢者が増えていく中で、コレクティブハウスのような需要は高まると考えられます。
例えば高齢者用のコレクティブハウスには、以下のようなメリットがあります。
1. 社会的孤立の防止：コレクティブハウスでは他の住民と日常的に交流する機会が多く、社会的孤立を防ぐことができ、精神的な健康が維持されやすくなります。
2. 経済的負担の軽減：共有スペースや設備を利用することで、個々の住居費や光熱費を抑えることができます。
3. 安全性の向上：共同生活をすることで緊急時に助け合うことができるため、安全性が向上します。また孤独死の防止にも役立ちます。
4. 健康維持：日常的な交流や共同活動を通じて、身体的・精神的な健康を維持しやすくなります。
5. 相互支援：住民同士が家事や日常の雑務を分担しあうことで、負担を軽減することができます。これにより、高齢者が自立した生活を続けやすくなります。
このようにコレクティブハウスは、単身高齢者や未婚者が増えるこれからの時代において、重要な住居形態となる可能性があります。北欧の成功事例を参考に、ぜひ賃貸物件の差別化を図るためのアイディアに取り入れてみてください。
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