老年学・加齢学の重要性と高齢者賃貸問題の解決策

住宅難民問題
2025/02/20
文:藤掛千絵

老年学(Gerontology)や加齢学(Ageing Studies)という学問をご存知ですか?
名前の通り、高齢者に関する理解を深める学問ですが、実は私たち自身の生活にも大いに役立つものです。

現在、日本は急速に高齢化社会を迎え、2025年には全人口の約30%が65歳以上になると言われています。そのため、高齢者の生活支援や生活環境の整備はますます重要になり、老年学・加齢学の知識が欠かせない時代となっていきます。

この記事では、老年学・加齢学の基本的な内容や、高齢社会での具体的な活用法、そして高齢者の賃貸入居問題についても掘り下げていきます。

老年学・加齢学とはどんな学問?

老年学や加齢学は、高齢者の健康や生活の質(QOL)を向上させるための学問です。身体的、心理的、社会的な側面から高齢者が直面する課題を学び、解決策を見つけることを目的としています。たとえば、老年学ではフレイル予防(虚弱予防)や認知症予防に関する研究が行われ、加齢学では高齢者が健康的に暮らせる社会づくりを支援します。

日本で老年学・加齢学が研究され始めたのは、1950年代です。
現在は、桜美林大学に老年学研究科が設置されており、東京大学でも2009年4月に高齢社会総合研究機構が設立されました。

しかし、海外と比較しても学問自体の認知度はまだ高いとは言えません。
その理由として、老年学・加齢学が医療学、社会学、心理学、福祉学など、複数の分野が関わる学際的な学問であるため、独立した学問としては認識されにくいことが挙げられます。

とはいえ、実際には老年学・加齢学の知識は、企業マネジメントや、医療現場・福祉分野で既に活用されており、高齢者のケアや健康管理に欠かせないものとなっています。

実社会で生かされている老年学・加齢学

・産業ジェロントロジーの導入
高齢の労働者の増加により「産業ジェロントロジー」を取り入れる企業も出てきています。例えば、日本産業ジェロントロジー協会が、企業内での高齢者のマネジメントや労働環境の改善を支援しています。

:参考:
一般社団法人日本産業ジェロントロジー協会
https://jiga.jp/

・高齢者向けの賃貸住宅・高齢者施設での活用
老年学や加齢学の知見は、サービス付き高齢者向け住宅などの設計や、介護サービスの向上にも活かされています。特に「バリアフリー設計」や高齢者の「心理的ニーズ」を理解したケアで、高齢者の生活の質向上に貢献しています。

高齢者の賃貸入居問題を老年学・加齢学で解決に導く

高齢者が賃貸住宅に入居できない問題は、社会的な課題の一つです。
この問題に関して、老年学・加齢学の観点から改善が可能です。

1.高齢者の生活支援体制の強化
老年学・加齢学では、高齢者が自立した生活を維持するために「地域社会や周囲のサポート」が重要だとされています。
高齢者が賃貸住宅に入居する際、支援体制を整えることがカギとなります。
例えば、地域包括支援センターや福祉施設と連携し、定期的な訪問や健康チェックを行うことで、大家さんが恐れる「孤独死」や「事故物件化」を防げます。

2.高齢者向け住宅の設計・改良
加齢学に基づき、高齢者が住みやすい住宅設計を提案することも重要です。
階段や段差のないバリアフリーな住環境にすることで、転倒リスクを減少させます。
また、見守りシステムを導入すれば、大家さんの不安を和らげることができます。

3.大家さんの不安や偏見の軽減
高齢者に対する偏見や無理解が問題となっています。これを解消するため、教育と意識の変化が求められます。
不動産業者においては、「高齢者の入居促進キャンペーン」を実施し、孤独死リスクを低減させる仕組み(見守りサービスやサポート体制の強調)を提供することで、大家さんの不安を減らすことができます。

つまり、老年学・加齢学の知見を活用すれば、今後増加する「高齢者市場」を開拓し、空室問題に対する新たなアプローチが可能になります。

まとめ

老年学や加齢学を学ぶことは、専門職だけでなく、私たち全員にとって重要です。
高齢化社会を理解し、高齢者との共生に必要な知識を身につけることはもちろん、将来自分自身が年齢を重ねたときにも役立つ情報を得ることができます。
私たちが直面するであろう課題に対して、どう対応すべきかを考えるための指針ともなります。

より快適で支え合いのある社会を作るために、ぜひ老年学・加齢学を学び、日常生活に取り入れていきましょう。

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藤掛千絵