単身高齢者とアルコール依存症問題

孤独死問題
2025/04/10
文:藤掛千絵

近年、高齢者層でのアルコール依存症が増加していることが社会問題として取り上げられるようになりました。アルコール依存症と聞くと、若年層や中年層に多いイメージを持つかもしれませんが、実際には高齢者層にも依存症が広がりつつあります。



特に、賃貸住宅で生活を送る単身高齢者にとっては、アルコール依存症で「孤独死」のリスクが高まってしまうことも…。

アルコール依存症は、単に飲酒量が多いという問題ではありません。生活環境や心理状態、身体の変化といった複数の要因が重なり、本人も気づかぬうちに依存状態に陥ることがあります。

賃貸に住む単身高齢者が抱える主なリスク

賃貸住宅で一人暮らしをしている高齢者は、家族や地域との接点が少なくなりがちです。この孤独感や喪失感を埋める手段として、アルコールに頼るケースがあります。

また、 高齢になるとアルコールの分解能力が低下しますが、若い頃の飲酒習慣を引きずったまま飲み続けることで、思わぬ健康被害や依存症に陥るリスクが高まります。

さらに、賃貸住宅では、近隣住民との関わりも希薄になりやすく、異変に気づかれにくいという特性があります。そのため、依存が進行しても誰にも気づかれず、重篤化してしまうケースが少なくありません。

アルコール依存症の予防方法

高齢者のアルコール依存症を予防するためには、まずその原因を理解し、適切な対策を講じることが大切です。


特に 高齢者においては、過度な飲酒が健康に与える影響が特に大きいため、適切な飲酒習慣を身につけることが重要です。一般的に、高齢者の場合は男性で1日2合、女性で1合程度の飲酒が目安とされています。飲酒量を守るだけではなく、飲みすぎないための意識的な努力も必要ですが、単身者の場合はなかなか難しいことも……。

もしもアルコール依存症に陥ってしまった場合には、専門的な支援や治療が必要になりますが、家主さんや管理会社ができる「アルコール依存予防」のための取り組みについて考えてみました。

1. 見守り体制の整備(孤立の防止)

定期的な安否確認サービスの導入(外部委託含む)
例えば週1回程度、管理スタッフや見守りサービス業者による安否確認・電話チェックを実施することで、一人暮らしによる孤立感の緩和と、異常行動の早期発見が可能になります。異常行動が早期発見できれば、支援団体や地域包括支援センターへ繋げることが可能になります。

住環境からの支援
共用部を活用し、談話スペースやサロン的空間の設置することで、住民同士が気軽に交流できるスペースを作ります。コミュニティ形成を支援し、コーヒーやお茶が飲めるスペースなど“飲酒以外の楽しみ”を提供することで、アルコールから意識を遠ざけます。

共用掲示板で地域活動や支援情報を発信
地域包括支援センターの相談窓口やボランティア募集情報、趣味サークル案内などがあることを積極的に発信することで、アルコール依存対策に限らず「生きがい」を広げる支援にもつながります。

2.ソフト面での働きかけ
入居時の聞き取りに健康・生活習慣の項目を追加
飲酒の頻度や健康状態などをさりげなく把握しておくことで、いざという時の対策を考えられます。


入居者向けの啓発資料の配布(紙・デジタル)
「高齢者の飲酒に潜むリスクと予防法」といった簡単な読み物を定期的に入居者へ配布します。内容は短く、図解入りでわかりやすく、地域包括支援センターの監修を受けると信頼性がアップします。

3.地域包括支援センターとのパートナーシップ構築
 万が一、問題が顕在化した場合にすぐ相談・支援できる体制を整え、定期的な勉強会や懇談会を開くなどすることで、家主や管理会社側も含めて、アルコール依存症への知識向上につなげます。

なぜ家主・管理会社が取り組むべきなのか?

入居者の生活安定は、物件の長期的な価値維持に直結
入居者の依存症が進行すれば、近隣トラブルや孤独死といったリスクも上昇し、最悪の場合、事故物件化して物件の価値を下げてしまいます。

単身高齢者の入居が今後さらに増加
単身高齢者でも安心して住み続けられる環境を提供することで、後々の空室対策にもつながっていきます。

地域社会との協調モデルとして注目されやすい
社会的な取り組みとして評価され、自治体との連携も強化できます。

ただし、もしも入居者のアルコール依存症が進行してしまった場合には、直ぐに専門的な治療が必要です。
アルコール依存症は、本人だけでなく周囲の人々にも大きな影響を与える深刻な疾患です。治療には、カウンセリングや心理療法、グループセラピーなどが有効であり、依存症から回復するためには専門家の支援を受けることが重要になります。まずは地域のアルコール依存症治療センターや医療機関に相談することが、回復への最も早い手段となります。

PR:定期的な安否確認で孤独死を防ぎます

高齢入居者だけの問題ではなくなってきた、単身世帯の「孤独死」問題。
賃貸オーナーや近隣住民にとって、入居者の孤独死は物件の価値を下げる懸念材料です。

株式会社ザ・ハウスが提供する見守りサービス「ひとり暮らし安心プラス」では、日常の安否確認に加えて、「万が一」が起きた時に、緊急連絡先に連絡する「死後事務」も提供しております。更に65歳以上の入居者に定期的な心の健康診断を実施し、認知症の兆候も確認。
認知症にまつわる不安を軽減します。

また賃貸管理会社様、賃貸オーナー様向けに、簡易な見守りサービスをご用意いたしました。

■大家さん安心コール https://ooyacall.jp/

機材設置等の手間もかからず、スマートフォンや携帯電話一つで気軽にサービスを開始。
ご利用料金は、見守りの対象となる入居者(サービス利用者)の数に応じた月額従課金制で、様々なニーズにも対応可能です。本格導入前に14日間の無料トライアルで使用感のお試しも。どうぞお気軽にお問い合わせください。

藤掛千絵