空室が埋まらない理由は“視点不足”?

住宅難民問題
2025/05/14
文:藤掛千絵

少子高齢化、世帯人数の減少、都市部集中型の人口動態など、空室が生まれる構造的要因は年々強まるばかりです。
先日「株式会社NEXERと株式会社日住サービス」が発表した「賃貸運用を成功させるための秘訣に関する調査」では、アンケートに回答した家主さんの多くが、対策として「広告の強化」「管理会社への委託」「リフォームによる物件の魅力アップ」などを挙げていました。
これらは確かに効果を感じやすい対策であり、広告費やリフォーム費用を捻出できる家主さんにとっては有効でも、全員にとって現実的とは限りません。
中には「管理会社に任せても空室が埋まらない」「広告を打っても反応がない」という声もあり、今求められているのは“視点の転換”です。

今回は、特に築古物件の空室に悩むオーナー、あるいは提案を行いたい管理会社様向けに、【今後有望な入居ターゲット】に着目した空室対策のヒントをご紹介します。

家主の4人に1人が「空室が長期化」と回答

国土交通省の「住宅市場動向調査(2024年度)」によれば、全国の民間賃貸住宅の空室率は約18.6%。都内でもエリアによっては20%を超える地域もあり、特に築年数の古い物件では「空室3ヶ月以上が当たり前」「内見すら来ない」といった声が少なくありません。
リフォームや広告は短期的な効果はありますが、周辺に似た物件が多いエリアでは差別化が難しく、投資対効果に悩むオーナーも増えています。
そこで注目されているのが、「ターゲットに合わせた空室対策」です。今回はZ世代と高齢者という2つの有望な入居層に焦点を当ててご紹介します。

これから市場をけん引する層

Z世代(1990年代後半〜2010年代初頭生まれ)は、今後の賃貸市場において中心的な入居者層になると見込まれています。
住宅改良開発公社の調査によると、Z世代が賃貸住宅に感じている主な不満は以下の通りです:
• 冬寒い(断熱性の不足)
• 隣の音が気になる(遮音性の低さ)
• キッチンが使いにくい(自炊派への非対応)
このような不満は、築古・木造物件で特に顕著です。また、Z世代からミレニアル世代の一部には「浴槽はいらない、シャワーだけで十分」と考える傾向もあります。背景には、
• 水道・光熱費の節約志向(コスパ重視)
• お風呂にかける時間の短縮(タイパ重視)
• 浴槽スペースを居室に回したいという考え(利便性重視)
などがあります。

Z世代に訴求するには「断熱」「遮音」「機能的なキッチン」「浴槽レス」など、
合理性と快適性を兼ね備えた空間設計がカギとなりますなどがあります。

同様に、今後ますます存在感を増すのが「高齢者の単身世帯」です。高齢者の入居に不安を感じるオーナーは多いですが、見方を変えれば、高齢者が安心して暮らせる物件には将来性があります。
実は、高齢者が求める住まいの条件はZ世代と一部重なります。たとえば、以下の点です:
• 室内の断熱性・遮音性
• 浴室での転倒や溺水リスクを避けるための「浴槽レス設計」

高齢者向けに安全性・安心感を高める設備やサービスを導入することで、差別化だけでなく、長期入居・安定収益にもつながります。

リフォーム費用を抑える「補助金・助成金」も活用可能

断熱・省エネ・高齢者対応といったリフォームには、以下の補助金が活用できる可能性があります。

①先進的窓リノベ事業:高断熱窓・ガラス交換 最大200万円/戸
②住宅省エネ2025キャンペーン:断熱材施工・高効率設備 工事費の1/2以内
③地方自治体の補助金:高齢者対応、断熱改修など 5~50万円程度(地域差あり)
※詳細は自治体窓口や施工業者への確認をおすすめします。

まとめ:これからの空室対策は「誰に貸すか」を明確に

空室率の上昇は避けられない問題です。
だからこそ、今後の空室対策は「誰に貸すか」「その人が快適に暮らせるか」を軸に考えることが必要になっていきます。

• 若年層には…シャワー派・タイパ重視・コスパ重視
• 高齢者層には…安全性・安心感・見守りサービス

ターゲット像を明確にし、それに沿った適切なリフォームやサービス導入で、空室解消と長期入居が同時に実現しましょう。
もし「空室が長引いている」「広告を打っても反応が薄い」とお悩みでしたら、
「Z世代に寄せた設備改装」や「高齢者に貸す+見守りサービス導入」という選択肢も、ぜひ一度ご検討ください。


■アンケート引用元
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001570.000044800.html

株式会社日住サービス https://2110.jp/


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藤掛千絵