終活中の高齢者を狙う特殊詐欺!

高齢者見守り
2024/08/15
文:藤掛千絵

近年、単身の高齢者を対象とした様々な「終身サポートサービス」が増えてきました。
「身元保証」や「死後事務」等、人生の終わりをサポートしてくれる大事なサービスですが、同時に弱い立場の高齢者から金銭をだまし取る「詐欺」も増加しています。

また、オレオレ詐欺などメディアでも取り上げられる「特殊詐欺」は日々手口が巧妙化し、高齢者を狙っています。被害を未然に防ぐために最新の情報を収集し、また共有していくことが重要です。
今回は「終身サポートサービス」に纏わるトラブルや特殊詐欺事件について、改めて事例をご紹介していきます。

高齢者終身サポート事業者ガイドライン策定の背景には…

令和6年6月、内閣府を初めとする各省の連盟で「高齢者終身サポート事業者ガイドライン」が発表されました。
このガイドラインは消費者庁や国民生活センターへ「終身サポートサービスのトラブル」報告が増える中、事業者側が遵守すべき法律や留意すべき事項を整理し「適正に事業を運営する」こと、そして利用者が「安心してサービスを利用できる」ことを目的として策定されたものです。

ガイドラインが設けられた背景には、消費者センターや国民生活センターへの多くの「トラブル報告」があったことが挙げられています。
例えば、終身サポートに関するトラブルには、下記のような事例がありました。

・預託金の詳細な説明がない・
60代の女性が「身元保証サービス」を提供する事業者と契約しましたが、預託金として100万円を支払うように求められ、更に詳細な説明がないまま、支払いを急がされました。

・約束されたサービスが提供されない・
70代の女性が身元保証サービスを契約しましたが、定期的な安否確認や緊急対応が行われず、不信感から解約を申し入れたところ、返金額に納得できないまま一部のみが返金されました。

・「高齢者支援法人」による預託金使い込み事件・
高齢者から預かっていた約2億7千万円の預託金を、支援法人が役員の手当や事務所の開設費用などに使用していた事件です。法人の役員は業務上横領の疑いで逮捕されました。

■公益法人が高齢者預託金2億7千万円を流用
https://news.ntv.co.jp/category/society/320259

高齢者の間でも増えている「ロマンス詐欺」

おひとりさまの恋愛感情を悪用した「ロマンス詐欺」というものがありますが、高齢者の間でSNSが普及したことをきっかけに「単身高齢者」を狙うロマンス詐欺が増えています。おひとりさまで寂しいという気持ち以外にも「病気や介護が必要な状態になったらどうしよう」という将来への不安・心配が、詐欺師につけ込まれやすいようです。

岡山県の消費者生活センターには、70代の女性から「国際ロマンス詐欺」に関する相談が寄せられていました。SNSで知り合った外国人から求婚され心を許した女性が「お金と金塊を送るから受け取ってほしい」と言われ、保険料や送料として200万円も振り込んでしまったということです。

■「国際ロマンス詐欺」の手口に注意!!
https://www.city.okayama.jp/kurashi/0000031887.html

こちらは海外における「詐欺師」側の実情を探った取材記事ですが、詐欺師から見た「ターゲット」は「年配者が多い」と語っています。結婚をしていても高齢者になるとパートナーと死別しているケースも多く、寂しさにつけ込みやすいからでしょう。

■ロマンス詐欺 なぜ人はだまされる?アフリカで迫った手口と実態
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/feature/2024/03/22/38517.html

また、高齢者サポートの事業者による、詐欺までは行かずとも、異性の訪問担当者を宛がうことで高齢者の気持ちを利用し、強引な契約に進む…そんな例も存在しています。

■「おひとりさま」80代女性に「高齢者サポート」を謳う業者がセールス…迎えた「納得いかない結末」
https://news.yahoo.co.jp/articles/508633c9b11db574ef0ff3f0730babe79b48d17e

高齢者を狙う詐欺は他にも…

1. 不動産詐欺
一人暮らしをしていた80代の女性が、認知症の進行により判断能力が低下している状態で、不動産販売会社に300万円を振り込んでしまった事件がありました。女性本人にはその覚えがなく、家族が銀行口座の不審な動きを発見して初めて詐欺に気づきました。


2. 土地・建物の売買契約詐欺
軽度の認知症を患っている高齢者が、自宅を訪れた不動産業者に「非常に良い話なので、すぐに決断をしてほしい」と執拗に勧誘され、相場よりも低い価格で自宅の土地・建物を売却する契約を結んでしまった事例もあります。この契約は、後に家族が発見し、法的手段で取り消すことができました。

上記のように判断能力が低下したり、認知症を患っている高齢者を狙った詐欺が横行しています。本人が気づかないまま進行することも多く、家族や身寄りのない高齢者は特に狙われやすくなっています。



まとめ

不動産詐欺、終活詐欺の事例をご紹介しましたが、未然に防ぐためには、以下の三つの点が重要です。

•家族や地域社会のサポート:高齢者が一人で判断することを避け、家族や地域社会による定期的な連絡・訪問を通じて高齢者の状況を把握し、不審な動きがないかを確認する。

•法的保護の強化:高齢者の資産を守るための法的保護を強化する。

•啓発活動の推進:高齢者自身やその家族に対して、詐欺の手口や防止策についての啓発活動を積極的に行う。

特に三つ目の「啓蒙活動」については、日々進化する詐欺の手口について「最新の情報を提供し続ける」ことが重要です。

高齢者を狙った詐欺は、社会全体の問題であり、個人の努力だけでなく、社会全体での取り組みが求められます。
高齢者が安心して暮らせる社会を実現するために、私たち一人ひとりも意識を高めていくことが必要でしょう。

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藤掛千絵