限界集落について知る②

住宅難民問題
2024/04/25
文:藤掛千絵

前編では限界集落の定義や、都心でも起きている限界集落化、そして買い物難民という新たな問題についてご紹介しました。

後半では、限界集落や買い物難民の問題を解決すべく、対策として行われている実例をご紹介していきます。

■限界集落について知る①
https://anshinplus.me/column/detail.php?id=23

限界集落の対策①

「限界集落について知ろう①」でご紹介した、誰にも気づかれず高齢者が孤独焼死した高知県の集落では、火災発生後から「電力スマートメーター」を使った見守りサービスを町ぐるみで導入しました。
電力スマートメーターは四国電力が検針を自動化するために家庭への設置を進めているもので、火災警報器と水道メーターも接続することが出来ます。火災警報器が作動したり、水道に異常な動きがあれば、スマートメーターを介して町役場や消防暑に連絡が届きます。

■限界集落で起きた「孤独焼死」 まちが始めた高齢者のスマート見守り
https://www.asahi.com/articles/ASRDH6CQDRDHPTLC00N.html

現在は実証実験段階ですが、これにより地方の限界集落で「遠隔の見守りサービス」が更に充実していくことが期待されています。

限界集落の対策②

若者や居住者が減って人口が減少している集落の中には、移住者を誘致する活動を行うところも多くあります。

そんな誘致の取組の一つとして、新潟県のある集落ではドイツから移住してきた建築家による「古民家再生」のプロジェクトが行われています。
廃屋と貸した古民家を現代の生活に合わせリノベーションし、古民家自体に「新たな価値」を見出すプロジェクトは、メディアでも取り上げられました。
モダンな建物に生まれ変わった古民家に住もうと、集まる移住者が定住できるよう、地元住民がサポートも行っています。

■ドイツ人建築家カールベンクスが手掛けた新潟・柿崎 下牧集落の再生古民家
https://kb-house.com/

買い物難民の問題を解決するには…

限界集落の買い物難民対策の社会実験として、山梨県のある村でドローンを使った配送サービスが行われています。
それまで人口約700人の集落には商店がたった一軒のみ、生鮮食品や野菜を買うには、車で片道40分かけて店舗へ買いに行くか、週一回の生協の配達が頼みの綱でした。
車を持っている世帯や若い世帯には問題なくとも、高齢者は買い物に行くだけでも大変です。

そこで、産業用ドローンの開発研究を行う企業が、村内の空き家に物流の拠点を設置し、ドローンによる配送で「買い物代行サービス」を試験的に開始しました。

■ドローン配送サービス「SkyHub」 | NEXT DELIVERY【事例】山梨県小菅村
https://nextdelivery.aeronext.co.jp/kosuge-case/

この試験は新たなステージへと進み、2024年4月には、「地方創生に向けた包括連携協定」を締結しました。ドローン配送による物流だけではなく、産業振興、地域雇用、人材育成などにも貢献する取組となり、これからの展開に期待できそうです。
現在、山梨県以外でも、石川県、広島県、和歌山県等でサービスが始まっています。

都心の買い物難民対策は……

東京港区の麻布・高輪地区は富裕層が増加したことにより、富裕層向けの高級スーパーが進出してきました。その結果、低価格スーパーや個人商店が街から撤退し、例え近くにスーパーがあっても「日常的に利用できない価格帯」で、高齢者を中心に買い物難民が発生するようになりました。
そこで東京都は、高齢者の多い都営住宅などを車で訪れる「食料の移動販売」を開始しました。

しかし都内には港区以外にも高齢者が分散しているため、買い物難民の問題が全て解決したわけではありません。早急に行政の対策、社会的支援の充実が求められています。

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藤掛千絵